だから、お前はほっとけねぇんだよ

……が、なかなか手がやってこない。



「……?」



不思議に思ったあたしはそーっと目を開けた。



「女の子がこんな事していいの?」


「……っ‼」



そこにいたのはマリカちゃんのあげた手を掴んでいる、なっちゃん。


マリカちゃんはなっちゃんの登場に意表を突かれているご様子。

もちろん、あたしも。




「な、なんで安居くんがっ……?!」


「……俺、こんな卑怯な真似してもいいのかって聞いてるんだけど?」


「っ‼そ、それは……その……」



胸ぐらを掴む、マリカちゃんの力が弱まっていく。


……なっちゃん?
何かいつもと違う……



「そんな事やったって琥侑ちゃんは振り向いてくれないと思うけど?」


「ゔ……ッ」


「もっと正々堂々勝負したほうがいいよ。
……行こヒメちゃん」



そう言うとなっちゃんはマリカちゃんの手からあたしを解放してくれた。

そしてあたしの右手を引き、屋上から出て行く。






ふたりの足音が階段に響く。

同時にあたしの心も、トクントクンと脈打つ。



「な、ちゃ……?」

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