嘘ツキ彼氏
君と始めた日
「美羽ってさー、俺のこと好きなの?」

じっと目を見つめて言われた言葉。頬が熱くなる。恥ずかしい。なのに顔をそらせない…。

「うん、好きだよー?」

茶化して笑って誤魔化して、逃げさせて…。

「それって恋愛対象的に?」
「さぁ?」
「真面目に答えて」

ぐっと両頬を大きな、暖かい手に捕まえられる。視線を外すので精一杯だ。身じろぎ一つできない。
--もう、隠せない。

「…そうだよ」

でも知ってた。君にはもう一年になる彼女がいること。あの二人は仲がいいって、先生らの間でも有名だよ。

「なら、付き合おう?」
「何言ってんの、友希には彼女いるじゃん」
「別れる」

あまりの即答っぷりに何も言えなかった。その目は真っ直ぐで疑えなかった。

「あたしと付き合うために?馬鹿じゃないの?あんなに仲いいのに」
「最近、冷めてるし。あいつ金遣い荒いし、うちの親もうんざりしてんだよね」
「だからあたしって?最低だね」
「そんな最低なやつは嫌い?」

あたしはもう道を間違えていた。そんな奴好きになんてなっちゃいけないのにね。信用なんて出来やしないのに。ただそれでも君に愛されてみたかった。

「…すき」

どちらからともなく静かに唇を重ねた。
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