小悪魔執事と恋ゲーム
「ハァ……寒い!」
外に出るとピューっと冷たい風が吹いて、マフラーに顔をうずめる。
こんな日は甘いホットココアを飲みながら、暖炉の前で温まりたい。
「ん、?」
校門に向かって歩き出す足を、ピタリと止める。
あの車、あんまり見かけない車だけど。
誰のお迎えだろう?
ん……待てよ?
よく見たら、八乙女にそっくりな人が車に寄りかかりながら、片手でスマホを操作している。
でも本当に八乙女?
喜ぶのはまだ早いと、一旦ココロを落ち着かせながら、確かめるように何度も目をこすった。
ついにわたし幻覚が見えるくらい、相当な疲れが溜まってるのかも……。