ワケありオンナとワケあり男子の共同生活
誕生日





──3週間後。

わたしとあきくんは就職先が決まり、働き始めていた。

わたしは有料老人ホームに就職した。あきくんは療養型病院の看護助手として働いている。

あんなに綺麗に咲いていた桜はほとんど散ってしまった。


「いただきます」
「いただきます」

2人で両手と声を合わせて言った。ベット沿いにあるカーテンは閉められている。外は夜だから暗い。

お互い仕事が終わり、一緒に夕食。

あきくんがいるのが当たり前になってきたこの空間で食事をするのも何回目だろう?机の上には彼のお手製ハンバーグとサラダとごはんが並んでいる。

家賃を半分払ってくれているけど、あきくんが料理をすることは変わっていない。

"あゆさんが美味しそうに食べる姿を見たい"と言って作ってくれるのだ。

箸でハンバーグを一口サイズに切って口に運ぶ。

「美味しい。あきくんは何を作っても美味しいね」

「そう言ってもらえたら作りがいがあるよ」


< 92 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop