隣の部屋にフランス人

「前は一つだったから、
たくさんあげたかった」

「本当に、ありがとう」

私、何もしてないのに、
ただのクリスマスイブなのに、
こんな花束をいただいて恐縮です。

「これ、持ち歩くんだよね…」

別にいんだけどさ…
お店とかに行くとき、
店員さんが、何事だって思わない?

あー、私はなんで、ロマンチック思考になれないんだ。
いつも冷めたことばかり考えて
申し訳ない。

「ごめん、邪魔だ?俺が持つ」

「別にいいよ、私持てる」

「俺持って、帰ったらあげるから安心して」

いや、別に花を王子に
とられたくないってわけじゃないんだけど。

ま、いいか。


「ねー、あの人見て!
花束もらってたよ」

「いいなー、あんな彼氏」

すごく注目を浴びてる気がする。
でも、私、ちゃんと彼女って認識されてる!
とりあえず、一安心。

「リリー、映画、見に行こう」

「うん」

私は、ルイの腕につかまった。
彼女だし、クリスマスだもん。

今日は可愛い感じになるように
頑張るぞ!
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