all Reset 【完全版】

 無限の幸せ




目の前には全面の海。


薄い空の青と、濃い海の青。


二色は全く違う色のくせに境界線がはっきりしていない。


ぼやけて何となく境目がわかる。

そんな感じに見える。


じっと見続ければ何かが見えそうで、俺はさっきからその境界線を見つめている。



東名高速を飛ばして沼津インターまで、それから伊豆半島を先端に向かって走ってきた。


今さっき運転に飽き始め、タイミングよく車を停められる場所を見つけた。


観光客が立ち寄る岬だけど、人はほとんど見当たらない。


目的地の伯父のところまで、たぶんあと一時間くらいだと思われる。



あんな事故に遭ったくせして、よく運転できるなって自分で思ったりした。



あのときのことはもちろん今でも忘れられない。


鮮明に事故った瞬間が蘇る。


頭で思い出せるというより、身体が記憶してるような感じなのかもしれない。



だから、人を乗せての運転はあれ以来していない。


でも、自分一人で乗る分には気にならなかった。


何かあったら自分が悪い。

自己責任。


そんくらいにしか思ってない。


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