all Reset 【完全版】



「あ、そう……」


あからさまにに不自然な反応をした気がした。


悟られないために次の言葉を必死に探す。


少しの沈黙でも、その間に自分の脳内を読み取られてる気がして落ち着かない。



えと……えっと!



『お前は?』


「えっ?! あぁ、今からバイトだけど」



バカバカ!

落ち着け亜希!


何か、何か話さないと……。


あっ、そうだ!



「そうそう。今ね、尋乃ちゃんとお茶してたんだよ」


話題を変えてそう言ってみると、電話の向こうが一瞬黙り込む。


『ふーん…』


と、あからさまに興味のなさそうな良ちゃんの声が返ってきた。


「あのね、“ふーん”じゃないでしょ。秀に浮気してないで、あんたが尋乃ちゃんと会いなさいよ」


お節介を焼きつつ、わたしの口調は無駄に強くなる。


良ちゃんは流すように『はいはい』と言った。



「で? 何よ?」


『明日のことだよ』


「ああ、そのことか」



どうやら良ちゃんは明日の約束で電話をしてきたらしい。



明日、四月二十七日。



この日は、わたしたち三人にとって特別な日だったりする。


四年前のこの日。


高校一年の春。



それが、今のわたしたち三人の始まりだった。


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