all Reset 【完全版】

 付き合いの長さ





電話を切るとスマホを放り投げた。



お節介、焼きすぎだろ?



そう思うと自然と溜め息がもれた。



「断られた上に、お節介まで焼かれたんだ?」


ご愁傷様。


そんな言い方をして、秀は投げられたスマホをチラッと見ていた。



秀が俺と同じことを言ってたら…

亜希を誘ってたら……


アイツは断ったりしたかったかもしれない。



そんなマイナス思考になったりしてみる。



亜希が秀と距離を縮めていくたび、俺はそんなことを考えるようになっていた。



「粗末なもんだぜ? 幼なじみなんて。俺のこと何だと思ってんだよ」


「粗末って、そんなことないだろ?」


秀はクスッと笑って俺に顔を向ける。


「予定があったからだろ? 仕方ないじゃん。何もなかったら、亜希だって断らないと思うけど」


「たしかに……」


そう言ったものの、秀に余裕を見せ付けられた気になる。


一回落ちるとどこまでも落ちる。



いつから俺は……

こんなことを思うようになったんだろう?


< 36 / 419 >

この作品をシェア

pagetop