all Reset 【完全版】

 未知なる未来




秀を待つ時間は幸福そのものだった。



寒さも全然苦痛じゃない。



秀が、もうすぐ来る。


そう思うと、わたしのドキドキは増すばかりだった。



秀のことを考えるだけで気分が盛り上がる。


一人であれこれ考えてみたり、思い出に浸ってみたり、幸せな時間が流れていた。



秀と出逢ってから、もう五年が経つ。



その日々が勝手に生き返り始め、アルバムをめくるように頭の中に浮かんでくる。



過去を振り返ると懐かしくて幸せで、そのときそのとき感じた想いがいくらでも蘇った。



過去があって、今があって、これから未来がやってくる。



きっと、このアルバムは増え続ける。



わたしの中で用意された真新しいアルバムには、まだ中身が無い。


未来のアルバムは中身がまだ空で、どんなものができあがるのか予想もつかない。



でも、そのページはエンドレス……。



これから先、未来は限りなくやってくる。



楽しみな反面、不安もある。



けど、秀がいる未来はわたしにとって幸せって決まってる。



秀がいれば、わたしは幸せ。



秀がいることが、わたしの幸せ。




何があったって、幸せに決まってるんだ……。





手を入れてたダウンジャケットのポケットが震え始め、現実に引き戻された。


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