all Reset 【完全版】
「……それと、これ」
亜希の目の前にやってきたおばさんは、そっと手にあるノートを差し出した。
「これは、亜希ちゃんが」
「……え、でも」
「持っててあげて。その方が、あの子も……秀も喜ぶから」
遠慮がちにおばさんとノートを見つめ、亜希は頷く。
「はい」と泣き顔を笑わせた。
「それとね……」
手渡すかと思ったノートをおばさんは突然開く。
その中から一枚の紙切れを取り出した。
ハガキのような紙だった。
「この間、秀が住んでた部屋を片付けに行ったら……これが」
「これ……」
「亜希ちゃんにだと思って……だから、これも一緒に」
俺には二人の通じ合うやり取りがよくわからなかった。
でも、亜希は大事そうにノートとその紙をおばさんから受け取った。
久しぶりに見せる、いつもの笑顔がそこにはあった。