ビターチョコレート
「折角だからーお茶飲んでってよ、みっくん!」

母は恐るべくおばさんの図々しさでみっくんを家にあげようとする。

冗談じゃない。顔も洗っていないのに

「茶道家がお茶の誘いを断る訳にはいかないですね」

みっくんはちょっと困ったように肩を竦めてみせたものの、案外乗り気だ。

いつ茶道家になったんだ。IT企業に勤めているエリートサラリーマンではないのか?!

私の心の中のツッコミを他所に母は強引にみっくんを家にあげる。

「茶道家だから和室がいいわよね。お茶いれてくるから美羽子お相手しててちょうだい」

茶道家だから和室という理屈もよくわからない。

そもそも寝起きでなんで私がお相手しなきゃいけないんだ。

色んな事を反論しようとしても、ふごふごいうだけで言葉にならない。

「ではお邪魔します」

みっくんは楚々と靴を脱いで我が家に上がり込む。

私に止める術はない。
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