にぶんのいち〜もしも春人を選んだら〜
そして私たちはベンチに座る。

なに話そう。
ゆっくり話したかったけど
会ってみるとうまく話が思いつかない。

「あのさ、」

春人が話しだす、なんだろう?

「こないだはごめんな。
俺麻衣のこと全然わかってなかった。」

少し意外な話だ。
突然の話に少し緊張する。

「大丈夫、私こそごめん。」
「その、突然別れるとか言って…」

やっと言えた。
春人にこのことだけは伝えたかったから。

「俺、不器用だからさ
麻衣の気持ち気づけないことあると思う。」

「でも、麻衣のこと好きなんだ。
ずっと一緒にいたいから。だから…」

彼の言葉が一瞬止まる。
でも私の心臓はどんどん速くなっている

「だから、なにかあったらすぐ教えてほしい」

「どんなことも麻衣と一緒に考えたいんだ。」

そんな嬉しいこと…
「一緒に」その言葉が私の心から離れない。

そうだ。今までもずっと一緒に頑張ってきた
一緒だから今まで頑張れたんだ。

「麻衣。好きだよ…」

そっと春人の唇が私に触れる。

そして彼は耳元で

「初めてのキス、みたいだね…」

そう囁いて顔を少し逸らす。

春人は私が思っていたよりも
私のこと考えてくれてるんだ。

「そうだね…」

そう言って私も彼にキスをする。

私はやっぱり春人が好きだ

< 5 / 6 >

この作品をシェア

pagetop