みんなみたいに上手に生きられない君へ
和也くんはしばらくの沈黙ののちに、照れたように片手で顔を覆いながらも、笑顔を見せてくれた。



「マジで......?
ヤバイ、すっげー嬉しい。
俺も、」



俺も?

和也くんは何かを言いかけたけど、私たちに遠い方のドアから、うちのクラスの担任が入ってきたのを見て、ぱっと口をつぐんだ。

......さすがに先生の前でこんな話は気まずいよね。



「こんなところにいたのか、前田。
探したぞ」

「......なに?俺なんかした?
いま大事な話してんだけど」

「こっちも大事な話だ」



愛想笑いをしながらも先生を鬱陶しそうにみる和也くんだったけど、先生はいたって真剣。

いつもにもまして、顔がこわい気がする。

.....私、ここにいていいのかな?



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