みんなみたいに上手に生きられない君へ
それから、前田くんは気をつかってくれたのか色々話しかけてくれたけど、緊張しすぎて、相づちをうつのがやっと。

まともに話もできないし、気まずすぎて申し訳ない。



「和也ここ曲がるよな?珠希もだから、送ってやって。
斉藤さんは?」



トンネルの前までくると、珠希ちゃんたちはここで道が別れるのか、前を走っていた渡辺くんたちが足を止めて、こちらを振り返った。



「わ、私はこっち」



私の家はトンネルを越えて、まだしばらくまっすぐ。

トンネルの向こうを指差す。



「そう、じゃあ俺と一緒だ。
送っていくよ」

「え~でもさ、」

「同じ方向だし、お願いします!
じゃ、珠希ちゃんまたね。
ま、前田くんも今日はありがとうございました」  



たぶん私と前田くんをふたりにさせたい珠希ちゃんが何か口を挟もうとする前に、目で制して、渡辺くんの近くにいく。

結局前田くんとは最後までまともに話もできないまま、二組に別れて家に帰ることになった。
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