みんなみたいに上手に生きられない君へ
「あの、本当に大丈夫だよ。私言いふらさないよ」



そこにどんな事情があるのか分からないけど、もし渡辺くんと先生が私の思ってるような関係だとしても。

こんなに言わないでって言ってるんだから、ベラベラ言いふらす気にはなれない。



「いや、だから、本気で違うんだ。
俺が先生とどうこうなることは、絶対にありえない」



だけど、渡辺くんは私が信用できないのか、それとも他の理由があるのか、一貫して徹底否定の姿勢を崩さない。



「先生のためだから、本当のこと言うよ。

......できれば、これも言わないでほしい。
どうしても言うなら仕方ないけど」



いまいちよく意味が分からなかったけど、真剣な表情の渡辺くんに押されてうなずくと、渡辺くんはひとつ息を吐いてから、口を開いた。



「既婚者だからとか、先生だからとかじゃなくて、そもそも俺が女とどうこうなるなんて、絶対にないんだ。

俺は、......ゲイだから」

「......え?」

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