みんなみたいに上手に生きられない君へ
「すっかり遅くなっちゃってごめんね。
付き合わせちゃったな」



だいぶ日が沈むのが遅くなったとはいえ、さすがに7時を過ぎるとけっこう暗くなる。

渡辺くんの家を出ると、すでに辺りが暗くなっていて、前田くんは申し訳なさそうに、もちろん送るよと、私の顔を見た。



「う、ううん、そんな。
私も楽しかったし、渡辺くんとも話せて良かった」



付き合わせたなんてとんでもないし、むしろ送ってもらうのが申し訳ないくらい。

珠希ちゃんと三人で帰ると思ったのに、本屋に用事があるとかでさっさといなくなっちゃうし。

絶対変な気を回されてる。

逆に気まずいよ。
前田くんとふたりなんて。



「つっきーは優しいな。
圭佑ともほとんどしゃべったことなかったんだよね?」

「え?うん......、じゃなくて、つっきーって、私?」



唐突にそんなことを言い出した前田くんに驚いて、自転車のペダルを踏み外しそうになってしまった。

つっきー、って。
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