ナナクセ探し 中学生編
俺の誕生日の当日、川野と連れ立って家へと帰った。

「ただいま。」

そう言って玄関に入る俺の後から彼女が付いてくる。

「おじゃまします。」

恥ずかしそうに言う彼女を連れてリビングに行くと、俺の母親がいたので紹介する。

「川野さん。」

友人を連れてくる事は言ってあったが、女の子だとは思わなかったようで、母さんの目が驚きで見開かれている。

「お、おじゃまします。川野光子です。初めまして。
えーと、よろしくお願いします。」

「まあ、まあ、可愛らしいお嬢さんだこと。

章一郎ったら、女の子だって言ってくれればよかったのに。

もう、何も言わなくて本当に口下手でこまっちゃうわね。

ああ、もう、もっと可愛らしいケーキ用意しておけば良かった。

ゆっくりして行ってね。
遠慮なんかしないでね。」

「母さん、もう、良い。」

まるでマシンガンだ。
彼女は唖然としていた。

「あら、ご免なさい。

さ、ケーキと紅茶をどうぞ。
私はそこまで買い物に出掛けてくるわね。

そうね、30分で帰るから。

章一郎、悪さしちゃ、駄目よ。」

「はい、はい。行ってらっしゃい。」

やっと静かになった。
どっと疲れた気分だ。

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