ナナクセ探し 中学生編
エイト ♪♪♪♪♪♪♪♪
俺たち3年生は、ほとんどの部活がすでに引退していた。

受験勉強に専念しろという事なのだろう。

川野の所属しているボランティア部は後数回部活かあるらしく、今日も園芸部がないこの学校の為に、花壇の草むしりをするのだと言っていた。

先に帰ろうと玄関に向かっていると、弟の幸次郎がやってきた。

「兄貴。」

学校で話し掛けてくるのは珍しい。
何かあったのだろうか。

「何だ?」

「さっき、ミツコ先輩に会ったんだけどさ。
俺の同級生の増辺って奴知ってる?」

話が見えてこない。何で、彼女の事が、こいつの同級生に結び付くんだろう。

「いや。何が言いたいんだ?」

「増辺さ、ボランティア部なんだけど。
俺がミツコ先輩と話していたら、牽制されちゃったんだよ。
あいつ、絶対ミツコ先輩の事、好きだぜ。」

「……お前、彼女と何話してたんだ?」

「ナイシヨ。ま、奴には気を付けた方が良いよ。 じゃ。」

そう、言うだけ言うと行ってしまった。

「ーーーー」

川野の事を好きだと言う奴は聞いた事がなかったが、俺が好きになったんだ。

同じように思う奴がいないとは限らない。

幸次郎だって、彼女の事が、気に入ったから話をしていたんだろう。



「村上、彼女たちと一緒に帰ろうや。」

今まで姿を見せなかった松木が近付いてきた。

この顔は、何か知っていそうだ。
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