ナナクセ探し 中学生編
無言でズンズンと歩き、そして、左に曲がった。

彼女は手を引っ張られていたので、倒れ込みそうになった。

まだ真っ直ぐ歩くつもりが、突然曲がるという行動に体が対応しきれなかったのだろう。

そして俺は、彼女を受け止め、抱き締めていた。

持っていた鞄なんか、その辺に放り投げてある。

「村上……クン?」

ギュッと力の限り抱き締めてしまう。

「ちょっと、痛い……。」

小柄な彼女はスッポリと俺の腕の中に包まれてしまっている。

「ごめん、、、俺、君の事、壊してしまいそうだ。」

痛がっているのに、自分が押さえられず、うまく力加減が出来ない。

「村上君?大丈夫だよ。
私、そんな簡単に壊れたりしないから。」

彼女も鞄を手放し、俺の背にギュッとしがみついてくるのを感じて、やっと少し力を抜く事が出来た。

「痛くしてゴメン。

ーーー弟の幸次郎から聞いた。

俺、嫉妬した。」

「村上君……、大好き。」

小さなくぐもった声だったけど、確かに彼女はそう言った。

彼女がとても愛しくて、何度も頭に口付けを落とした。
ずっと、このまま離したくなかった。

「俺、こんな奴でゴメン。」

「うん。」

彼女はそう言って、俺の胸に頬をこすりつけてきた。

ああ、このままキスしちゃおうか。
でも、ここは通学路のすぐ脇の公園だし、色々な所から丸見えだろう。

やっぱり、ファーストキスに相応しい場所とは言えないだろう。

しかも、こんな激情に流されたような形ではしたくなかった。

俺の理性の残っているうちに、離れなくてはいけない。
< 43 / 48 >

この作品をシェア

pagetop