魔法使い、拾います!
「それで今までここに監禁されていたというわけなのよ。大体分かってもらえたかしら?」

話し終えたティアは拗ねたように唇を尖らせて、自分の今の理不尽な立場をリュイに訴えた。

「それでどうするんですか?ティアさんは言われるがまま王妃様になってしまうんですか?」

「ヴァルと話をしてみないと分からないわ。お父様の一方的な決めつけだけでは判断できないもの。ヴァルの何を裏切りだと言っているのかしら。それにピア様は私を必要としてくれる。私……。ピア様なら愛せそうな気がするの。」

ティアは本当にヴァルを好きなのだろうか?幼い頃からずっと一緒に育ってきたのだ。嫌いなはずがない。しかし、だとしたら。もっとヴァルを信じてあげてもいいではないか。

「ピア様が素敵な方なのは分かりました。でも、ティアさんはヴァルのことが好きなんですよね?ヴァルのことを信じられないですか?」

「信じられるわよ。もちろん信じるんだけど……。ちなみにリュイさん。ヴァルを助けた時は、初対面だったのよね?」

「はい、初対面ですよ。初対面かどうかは大事なことなんですか?」

「ごめんなさい、何でもないの。ただ、ヴァルとテントウムシのつながりを、私知っているから。」

何でもないという雰囲気には見えないのだが、ティアが作り笑いをするのでリュイは面白くない。

「何でもない訳ないですよ。ティアさんはヴァルの事を好きなんですよね?そしたら気になりますよね?テントウムシって明らかに、このペンダントのことじゃないですか?」

「もちろん大好きよ。でも私……自分の意志も、好きな人の意志もどちらも尊重したいから。」

どうも引っかかる言い方だ。やはりティアはヴァルと結婚しないつもりなのだろうか。
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