魔法使い、拾います!
「いや、あの、どうしたんですか?」

「どうしたも何も……ジャンとキャラはもう居ないよ。半年ほど前に天に召されてしまったからね。」

「え……?」

「落雷事故だったのよ。天命と言えばそれまでだけど、でも……愛娘を残して逝くなんて不憫で。今、あの子の様子を見に行って来たんだけど、気丈に振舞っている姿が居たたまれなくて。大事にしているペンダントを握りしめて『形見になっちゃった』って、笑うのよ……あの子。」

「嘘だ……。」

「我々も嘘だと思いたい。嘘だったらどんなに良いか。すまないね、失礼するよ。」

町長は婦人の肩にそっと手をかけ、屋敷の方へと歩いて行った。

余りにも衝撃的な夫妻の言葉に、ヴァルはその場に崩れ落ちた。頭の中が真っ白で何も考えられない。

ジャンさん達が死んだ?もう二度と会えない?嘘だ!嘘だ!
ほんの先程まで会えると信じて疑いもしなかった。妨害されるならジョナにだろうと思っていたのだが、まさかこんな形で再会できなくなるとは。

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