道の果て・・
第1章

父がいなくなった日

それはとても暑い夏の日。
父親は、母と私を置いて出て行った。

母親はなにもなかったかのように
晩ご飯の支度をしていた。
小さな母の肩は小刻みに震えていた。

私はこれからどうなって
しまうのだろうと、不安だった。
でも、母がなにも言わない以上、
自分が不安を口にしてしまったら
それは現実になってしまいそうで
恐かった。

だから、私達親子は
今までと変わらない生活を
続けた。

実際には、母の負担は大きかったと
今思えばわかる。
でもその時は、私は
気付いていなかった。

それは私がとても幼かったから。
私が小学校6年生の夏の日。
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