俺様教師に恋なんか

ゼロメートルの距離





先生に招かれベランダに出ると、月の青い光が私を包んだように思えた。


キラキラ優しく輝き、まるで微笑みかけているような満月。


「わあっ・・・きれーい!」

「だろ?」


得意気な顔をする先生に思わず笑みがこぼれる。


「ふふ・・・なんですか?その嬉しそうな顔」

「・・・べつに喜んでねぇよ」

「もしかして照れてる?恥ずかしいんですか〜?」

「うるせー!」


ぷいっとそっぽを向く先生が可愛い。


平和なこの時間がずっと続けばいいのに。


そう思えた。


「先生、照れ屋さんなんですね」

「・・・あほ。誰がだ」


するとあ、と先生は思い出したように言った。


「そういえば晴さ・・・なんで大河に電話したの?」

「・・・夕方の話ですか?」

「ああ」


なんでいきなり・・・?


「大河はしょっちゅう携帯いじってるので、一番早く電話に気づくだろうなと思ったから大河にかけました。大体柚はあまり携帯使わないし」


・・・先生の連絡先は知らないし・・・ね。


すると先生はそうか、と言った。



・・・・・・・・・・・・え、それだけ?


なんで聞いたんだろう・・・。



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