謎は流しておしまい~迷探偵とやめたい助手~(仮)

名刺の紙が上質だ
お金持ちの会社なんだろう。

ジッとみると
そこには

HINYコーポレーション

営業 宮津 ユリナ

そして電話番号が書いてあった。

「興味あるなら電話して」

笑った顔が可愛かった。

「(H)人殺し(I)以外は(N)何でも(Y)やります……って意味の会社名」

耳元で甘くささやき
ユリナさんは高笑いで帰って行った。

高級な百合の残り香。

割れたマグカップ
カップに汚された壁
横倒しになったテーブル
凶器と呼べるヒールで穴の開いたソファ

怯える探偵先生はプルプルと震えながら私の手からユリナさんの名刺を受け取り、ジッと見つめる。

「杏ちゃん」

「はい」

「この会社。ヤフーでググってみて」

すがるように言われてしまった。

ヤフーでググる。




どっちを使えばいいのだろう。




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