ハルとオオカミ
「……よかったの? さっき。お話の途中だったんじゃ」
「あー、別にいいよ。気にすんな」
「中学のときの友達、なんだよね?」
「そー。あいつら、放課後いっつもこの辺で遊んでんだよ。だから俺もときどき行ってたんだけど」
ああ、五十嵐くん、いつも帰るの早いもんな。あの子たちと遊んでたんだ。
「そっか……」
「…………」
私の返答が短かったからか、また沈黙が落ちた。
うう。なんだか気まずい。そう感じてるのは私だけかもしれないけど。
てゆーか、なに落ち込んでんだろ、私……。
気を持ちなおそうとしても、さっきの女の子と五十嵐くんが話している光景が頭から離れない。
「……えっと、本、買ってくるね」
へらっと笑って一言告げてから、レジの方へ向かった。
本の会計を終えて店を出ると、歩き始めてしばらくして顔にぽつっと水滴が落ちてきた。