ハルとオオカミ


私が必死に葛藤して己の欲望を抑えていると、何を思ったか五十嵐くんが目を覆っている私の手首をつかんではがそうとした。


「きゃああ、なにすんの!」

「うるせーなあ……。いーから見てみろって。男の裸なんか慣れだ慣れ」


なぜか楽しそうな声色で恐ろしいことを言ってくる。

五十嵐くんの裸に慣れることなんかあるの? 慣れるまでに私は何度鼻血噴いてぶっ倒れることになるかわからない!


手首を掴まれ身動きが取れないので、ぎゅっと目を閉じたまま私はいやいやと首を横に振った。


「慣れないから! 早くシャワー浴びてきてください!」

「はるが俺と目合わせるまで浴びない」

「ええええ!」


鬼! いま目を開けたら、五十嵐くんは裸なうえ、私のことじっと見てるってことでしょ!? 目を開けた瞬間に死んでしまいます!



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