ハルとオオカミ


「見てたあたしまで照れたわ」

「……だ、だから、脈アリとかじゃないってば……」

「てか、いつのまに名前で呼ばれるようになったの」

「昨日……友達になったからって」

「へえー」


アキちゃんはムフフとあまりお上品とは言えない表情で笑った。


うう……面白がってるな。

こっちは心臓がえぐられそうな勢いでキュンキュンして痛いくらいなのに。


『はる』


思い出すだけで顔が熱くなる。今にも喉の奥から声が飛び出して、叫びだしてしまいそう。


『河名さん』って苗字で呼ばれるのも好きだったけど、名前で呼び捨てされるのはその百倍くらい破壊力があると思った。


……本当、大きな変化だよ。


昨日、はじめて『はる』って呼ばれて、恥ずかしながら私は倒れた。

五十嵐くんが支えてくれて、そのまま保健室に運んでもらった。


一時間後、目を覚ました私のベッドのそばには五十嵐くんがいてくれて、『あ。目ぇ覚めた?』って何気なく微笑まれたときはもう一度ベッドに沈み込みそうになった。



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