久遠の絆
一度は本当に壊れかけた蘭の心。


自らの抱える闇によって、ガラスにひびが入るように、危うい状態になっていた。


いっそパリンと割れてしまえば、楽だったのかもしれない。


でも、それでは、せっかく生まれてきた意味がない。


ガラスのように、割れた欠片を熱で溶かして再生出来るなら。


これ程壊れることを恐れはしないだろう。


けれど、命は再生できない。


壊れてしまえば、そこでおしまいだ。


だから、生きよう。


どんなに苦しくても、どんなに辛くても、理解されなくても、虐げられても。


生きていれば。


生きてさえいれば。


いつか愛する人、愛してくれる人に気付くことが出来る。


自分を大切にしてくれる人に出会うことが出来る。


無償の愛を注ぐことの出来る存在に出会うことが出来る。


生きていよう。


どんなに心に傷を抱えていようとも。










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