久遠の絆
「第一師団が……」


カイルが本営に戻って来たのは、すでに深夜に近い時間帯だった。


「グレン中将から連絡は?」


ハウレン少将は渋面で首を横に振った。


「そうか……」


帝国の誇る軍隊が、悉く壊滅的な被害を受けている。


これが同盟軍の力なのか?


長い平和にあぐらをかいてきた帝国の、これが今の本当の力だというのだろうか?


「いや、シド・フォーンの力か……」


「閣下?」


『グレン中将より映像通信が』

オペレーターの声が終わるよりも早くに、目の前のスクリーンに熊の顔が映し出された。


「中将」


「なんとか持ち堪えたぜ」


今まで応戦していたため、通信が遅くなったと言う。


「奴らはどこで見つけたのか、とんでもない船を持ってやがるらしい。それに対応する
のに少しばかり時間がいったが、まあ今日のところはなんとか、な」


「とんでもない船?」


「そうそう。そのデータはまた別便で送るからさ。待っててちょ☆」


どうも熊と話していると、緊張感に欠けるのだ。


「カイルっちは、こっちのことは心配しないで、そっちで頑張ってろよ」


じゃーな!とゲルシュ・グレンは右手を上げ、一方的に通信を切ってしまった。


「相変わらず……」


傍らでぼそりとハウレン少将が呟いた。


「中将がああ言われる時は、何とかなる時だ。こちらはこちらのできることをしよう」


「は!」


カイルは敬礼する少将に微笑みかけ、すぐに自分の思考の中に沈んでいった。


少将は、そんな元帥の側をそっと離れ、自分の席へと戻って行った。
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