君の世界から恋が消えた日
いつもは忙しそうで
あまり俺の相手をしてくれない父が
この場所に来ると
面白い話をたくさん聞かしてくれた

そんな時間が俺にとっては
大切な宝物だった


父の研究が世に認められ
この場所に来ることはなくなったが

俺は最近になってまた、
ここに足を運ぶようになった

埃を拭えば
あの頃の思い出が顔をのぞかせて
記憶の痕跡を大切に思い起こすように

この場所を掃除する事が日課になっていた
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