100回の好きの行方
ー公開告白ーの行方
「私、篤斗が好きなの!!」

 オフィスのど真ん中。就業時間が過ぎたばかりで、社員がまだまだ残る中で、突然の告白。

「はぁ~?」

 真っ赤な顔した、告白した彼女に、疑り深い顔をした告白された彼。

「だから、好きなの!!」

 返事を待っている彼女は、朝霧麻嘉。

 茶色のロングヘアーでうっすらとウェーブがかかり、それをシュシュでサイドにまとめている。

 長身ではないが、相手の男性がイスに座っており、自分は立っているので、相手から見上げられている。

 そんな麻嘉を見上げているのは、彼女と同期の、嵜村篤斗。

 黒髪を今、はやりの無造作ヘアーのようにちょっとくせ毛風で、インテリ眼鏡をかけている。

 その眼鏡を外し、ため息をつき、笑いながら言う。

「あのなぁ。それ、本気?…なら、無理だわ。」

「なんで!?」

 オフィスのど真ん中で、"無理"と言われても、麻嘉は悲しむ様子を見せず、理由を尋ねず、さらに相手の笑いを誘う。

「そもそも、俺、麻嘉のこと、女として見てないし。」

 憐れむような視線を向けられ、返事に困ると、畳み掛けるように次々と浴びるように、女として見られない理由を突き付けられる。

「徹夜で仕事したり?オフィスでは、制服みたいな格好で?メイクも適当?お酒や珍味ばかりすきで?もはや、オヤジ化しているお前に、魅力を感じない!」

 篤斗に本当のことばかり言い当てられた麻嘉は、ちょっと涙目になり、口をへの字にする。

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