サンタクロースは君だった
* * *

 あれからもう1週間が過ぎ、新年になった。ひかりは一度だけレオの家に赴き、夕飯を作った。オフと言っていたけれど夥しい数の仕事が来ているらしく、仕事用のデスクの上には書類が山積みになっていた。
 良いお年をと言って別れたのは12月28日。ひかりが作り置きした食料はおそらくもう尽きているだろう。そんなことを考えてしまうくらいにはあまりにも自然に、レオという存在がひかりの中に浸透していた。

「…ちゃんと食べているかなぁ。」

 本人曰く、水さえ飲んでいれば食べなくてもしばらく平気なタイプらしい。そんなタイプが本当に存在していいのかはわからないが、本人がそう言うのだからひとまずはそういうことにした。少食というわけではないらしいが、何かに熱中しているときは寝食が疎かになるようだ。
 ふと、ひかりのスマートフォンが震えた。電話の相手は、今考えていた人だった。

「も、もしもし!」
『あ、ひかりちゃん?あけましておめでとうございます。』
「おめでとうございます。」
『電話出るの早いね。珍しい。』

 いつも携帯は携帯しないタイプの人間であるため、レオからの連絡への対応も遅くなりがちだ。しかし今日はたまたま目に留まるところにスマートフォンがあり、すぐに反応することができた。

「…いつもごめんなさい。」
『え、あ!ごめんね、違うんだよ。そういう意味じゃなくて、早く出てくれて嬉しいってこと。で、話を戻すけど、ひかりちゃん今日お休みだよね?』
「…家にいますが。」
『良かった!今から外に出れる?初詣に行きたいなって。』
「い、今からですか?」
『予定がなければだけど。』
「じゅ、準備に少し時間をもらえれば…。」
『もちろんだよ。女の子だから時間いるよね?どのくらいあればいい?』

 正直髪は寝癖を直せればいいし、化粧はさっと15分程度で済ませてしまう。服もさっと選べることを考えれば30分あれば余るくらいだ。

「…えっと30分くらいで…。」

 普通の女性ならどのくらいかかるのだろう?1時間?それ以上?しかし、たくさん待たせてしまうのは申し訳なさすぎる。結局盛ることもできなくて、素直にそう答えてしまった。

『わかった。じゃあ待ってるね。』

 ひかりはすっと立ち上がった。
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