ある雪の降る日私は運命の恋をする

朱鳥side3

長い長い夢を見た。

私は、なぜか川のほとりに立っていた。

あれ…、私どうしたんだっけ?

その川には、橋がかかっていて、そこを何人もの人が通っていった。

…………私、死んだの?

てことは、ここは三途の川…?

すると…

”朱鳥ちゃん、頑張れー!まだ、死んじゃダメだよ!”

そんな声が聞こえた。

あれ?

私、まだ死んでないの?

どこ?

その声を頼りに、川から遠ざかる。

すると、どこか暗い所に出た。

物も光もない場所。

すると、また声が聞こえた。

”朱鳥、ごめん……ごめんな…………”

その日から、私はそこを歩き続けた。

毎日、聞こえてくる声。

誰の声だろう?

聞いたことある声なのに、なぜか、思い出せない。

”朱鳥…起きてよ………”

そんな声も毎日のように聞こえてくる。

ときどき、すすり泣くような声も聞こえてきた。

”朱鳥っ!!”

ずっと、誰かに名前を呼ばれる。

私、行かなきゃ。

そう思い、その声の元へと歩き始める。

”朱鳥、起きてっ!”

わかってるよ…

私だって、起きたいんだから……

ふと、手に温かみを感じた。

反射的に手をギュッと握る。

すると、いつもよりも大きい声が聞こえた。

あと、もうちょっと……

そのまま、歩き続けたある日

ん?あれは……?

どこからか、手が出ていた。

なんだろう?

不思議に思いながら、その手を掴む。

すると…

「うわあっ!」

急にその手に引っ張られた。

そのまま、手を引かれ、走り出す。

すると、だんだん暗闇が明るくなってきた。

これで、この暗闇から出られる?

少しの期待を抱いて、私は走り続けた。
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