ある雪の降る日私は運命の恋をする

インフルエンザ

「ゴホッ………ゲホッ……」

やば…喉痛い……

それに、頭もズキズキしてきた…………

陽向に強制的に寝かされたけど、眠れない。

今は、自分の事よりも、朱鳥の方が気になる。

陽向にカーテン閉められちゃったから、朱鳥の様子は見えない。

必死に手を伸ばして、カーテンを掴む。

引っ張ると、少しだけ開いた。

朱鳥は、スースーと寝息を立てて寝ていた。

きっと、陽向に寝るように言われたんだろう。

まあ、今日、目覚めたばっかりだしね。

朱鳥の顔をみたら、ホッとしたのか、力が抜けて、ポフッとベッドに倒れる。

グルグルと世界が歪む。

気持ち悪い……

目を開けてるだけでも、辛い。

仕方なく、目を瞑るが、依然としてグルグルとしている感じがする。

さっきまでは、少し寒かったけど、今は熱すぎる。

熱、上がったかな?

さっき、陽向が白衣を脱がせて、テーブルに置いたと思うから、その中に体温計が入っているはず。

重い体を持ち上げて、テーブルへと手を伸ばす。

あった。

なんとか、体温計を取って、もう一度熱を計る。

ピピピピピッ♪

40.7

やべえな……

40度超えたら、さすがに体力のある男でもヤバイ。

一応、陽向に連絡いれとくか。

陽向が枕元に置いておいてくれた、PHSで陽向に電話をかける。

プルルルルップルルルルッ

”もしもし、楓摩か?どうした?”

「陽向、今…大丈夫…?…ゴホッ…ゴホッ………」

”おう、大丈夫だけど、どした?”

「……ゴホッ…ゲホッ………俺…熱やばいかも……ゲホッゴホッ……41度いくかも…ゴホッ」

”はっ?41度!?ちょっと、まってろ、今行く。”

咳がさっきよりも、酷くなってきた。

咳き込む度に、頭がガンガンする。

こんなに、熱出したのは初めてかもしれない……

インフルかな…?

朱鳥に、移んないといいんだけど……

ガラッ

「楓摩、大丈夫か?解熱剤と冷えピタ持ってきたけど、かなり辛そうだな……」

陽向に解熱剤を点滴してもらい、冷えピタを貼ってもらう。

ヒンヤリとして気持ちいい。

「ん……ゴホッ…陽向、ありがと……ゲホッゴホッ…」

「おう、一応、インフルの検査キット持ってきたけど、やっとくか?」

コクン

「じゃあ、ちょっと辛いかもしれないけど、起き上がって、少し痛いかも……」

インフルの検査は、鼻の奥に綿棒を突っ込んで、検査する。

鼻だから、結構苦しいし、痛いんだよな……

少し、我慢して検査を受ける。

「ん、おっけー。検査結果でるまで、少しかかるから、寝てていいよ。」

陽向の言う通り少し寝ることにした。

でも、やっぱり、具合が悪すぎて、眠れない。

「…陽向……ゲホッ…き……つぃ…………ゴホッ…」

「あぁ、やっぱキツイよな。こんな、熱あるんだもんな。解熱剤、効いてくれればいいんだけどな、やっぱ寝れないか?」

「……無理…」

「そっか……、んー、でも、できるだけ睡眠薬は使いたくないんだよな…。だから、もうちょっと頑張って。どうしても、無理だったら、その時また考えるからさ。」

コクン

自分でも、睡眠薬はあまり、使いたくない。

あとは、解熱剤の副作用で眠くなってくれるのを期待するか。

「じゃあ、また後でくるな。」

もう、どうする事もできないので、俺は、大人しく目を瞑った。
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