ある雪の降る日私は運命の恋をする

朱鳥side7

「……ふぇっ…………グスッ………」

「…ん?朱鳥、どうした?大丈夫?」

また、夢を見た。

さっき、嫌な夢で目が覚めたばっかりなのに、もう、やだよ。

ただ、涙を流すだけしかない。

「朱鳥、辛いね。また、1回起きよっか。」

コクン

楓摩は、私が泣いていたら、すぐに気付いてくれる。

本当に心強いな。

「朱鳥、おいで。」

手を広げて笑顔で”おいで”と言ってくれる。

それに甘えて楓摩の胸に飛び込む。

温かい……

楓摩は、ぎゅーっとしたあと、抱っこしてくれた。

「朱鳥、大丈夫?また夢見ちゃったみたいだね。怖いね……」

子供をあやすみたいに、ゆらゆら揺らしてくれる。

でも、それはまた眠気を誘ってくる。

寝るのは嫌だ。

もう、本当に嫌だ。

怖い

怖いよ……

すると、あの夢が頭をよぎった。

”お前なんて、いなければ良かったのに”

あ……そうだ。

…………そうだよね。

私、人に迷惑かけてばっかり。

楓摩も、こんなのめんどくさいよね。

そう思うと、これまでの事がすべてアホらしくなってきた。

私なんて、もう、どうなってもいいや。

死んでも、、、いいや…………

ごめんね……楓摩………………

私………

すると、だんだんと震えも止まってきて、怖さもなくなってきた。

「…朱鳥?」

「………………ごめん……楓摩、もう、いいや…………」

「えっ?」

楓摩の腕から出て、玄関へ向かう。

ごめんね、楓摩。

もう、家に帰ろ……

あ、でも家、解約しちゃったんだっけ?

なら、いいや。

私の居場所なんて……

靴を履いて、家から出る。

楓摩がなんか叫んでいたような気がするけど、無視して前に進む。

部屋着のまま、飛び出してきたから少し肌寒いや。

楓摩が追いかけてきたけど、もう、なんだかわかんなくなって、とりあえず、走った。

冷たい早朝の風が私の髪をなびかせる。

でも、走って行くのには、さすがに限度があって、途中で止まってしまった。

息を切らしながら後ろを振り向く。

そこに、楓摩の姿はなかった。

あぁ、追いかけるの諦めたんだ。

って、なに寂しがってんだろ、私が望んでたことなのに。

もう、どうでもいいや。

どこに行くでもなく、フラフラと歩いて、人通りの少ない路地についた。

朝早いのに、何人か人はいて、みんな、私の事をジロジロと見ていた。

「ねぇ、お嬢ちゃん、こんな所に来てどうしたの?ここが、どんな所かわかってる?」

ニタニタとした男の人数人が近づいてきた。

怖い……

これから、独りで過ごす決心はあるのに、男の人が怖いのは変わんないんだね。

「ねーねー、無視ー?独りなら、俺たちと一緒に行こーよ?」

そう言って手を引っ張られる。

普段の私なら嫌がるだろうけど、なぜか反抗する気になれず、そのままついていくことにした。

「朱鳥ー?おーい!どこいったんだよ……本当に…………。ねぇ、朱鳥?どこ?会いたいよ……」

楓摩が私を探す声が聞こえてきた。

楓摩……

ごめんね…私…………

「あれ?どうしたの?お家に帰りたくなっちゃったのぉ?」

ニタニタした男が顔を覗き込んでくる。

やだ……

やめて…………

目に涙が溜まってきて、ポタポタと薄暗い地面に黒いシミを作る。

「なぁ、泣いてんじゃん、どーすんのこの子?」

「別に、いーんじゃね?俺たちには、関係ないっしょ。」

「それもそーだな。」

男達は、私をどんどん人気のない所に連れていく。

私、これから何されるのかな……

また、暴力?

それとも……あっち系の事?

それなら、暴力の方がいいな……

まあ、何もない方がいいんだけど。

「おし、ここら辺でいーんじゃね?」

「だな、じゃ、俺押さえるから、お前やって。」

「おう」

え……

やだ

何するの…………?

こんな所でやっと、恐怖心が湧いてきた。

私は、片方の男の人に羽交い締めにされ、身動きが取れないようにされた。

すると、もう1人の人はニタニタしながら、私の服を脱がせ始めた。

「ぃ、いや!!やめてっ!!やだっ!!」

「ちっ、うるせーな。黙れ、他の奴らに見つかったらどーすんだよ」

そう言って、また脱がせる事を始めた。

「いやーーー!!やだっ、やめてっ!!た、助けてっ!!」

やだ。

楓摩以外の人に触れられるのは、嫌だ。

怖い。

楓摩、助けて……

「うるせって、言ってんだよっ」

そう言って、顔を横から殴られる。

痛い……

鼻から血が流れてくる感じがする。

それに、口の中も血の味がする。

「……やぁ………………やめっ…」

私、この後どうなっちゃうんだろう……

用が済んだら、捨てられるのかな……?

怖いよ……

助けて……

楓摩……
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