ある雪の降る日私は運命の恋をする

楓摩side6

最近、朱鳥は悪夢のせいで、精神がかなりのダメージを受けている。

それで、情緒も不安定気味だ。

いきなり、家を飛び出した朱鳥に、俺は戸惑った。

必死に探して、探して、3時間ほど経った頃、俺は、病院に休む連絡をする為、一旦家に戻った。

マンションのエレベーターに乗り込む、もしかしたら、朱鳥は家に帰ってるかもしれない。

その、僅かな希望を持って、扉が開くのを待つ。

「…………あ、すか?朱鳥?朱鳥なの!?」

「……ふ………………ま…?」

扉が開き、俺の家の前に座り込んでいたのは、間違いなく朱鳥だった。

ただ、あまりの怪我で一瞬驚いた。

朱鳥の服は破られていて、所々肌が見えていた。

顔や腕の所々にアザが出来ていて、何をされたかは、なんとなく、察しがついた。

朱鳥の体は、とても冷えていた為、まずは、暖めることを優先した。

朱鳥は、ずっと泣いていたから、落ち着いてから、傷の処置をしようと思い、病院に事情を話して、休みをもらってから、朱鳥の傍にいた。

すると、朱鳥から意外な質問が来た。

”生きていてもいいの?”

それは、とても悲しい質問だった。

自分の存在意義。

それを、朱鳥は見失っているようだった。

俺は、思っている事をひたすら伝えた。

俺には、朱鳥が必要な事。

たとえ、誰かが要らないと言っても、そんなの気にしなくてもいい事。

それが、朱鳥の存在する理由だって事。

必要としてる人がいる限り、自分の存在意義は消えない事。

それを、ありったけの言葉で伝えた。

すると、朱鳥は、更に涙を流した。

俺は、ただそれを慰め続けた。
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