ある雪の降る日私は運命の恋をする

楓摩side7

熱が続き、少しグズグズしている朱鳥。

今も、俺は仕事に行かなきゃいけないのに、行かないでって離してくれない。

「あーすーか、俺、仕事行かなきゃいけないんですけどー、離してくださいよー。」

「やぁだぁ……寂しいもん…………1人怖いもん………」

「じゃあ、一緒に病院行く?そのまま入院する事になっても知らないけどー。」

早く行かないといけない、という焦りで少し意地悪く言ってしまう。

「やだ。けど、1人もやだ…………楓摩、一緒に居て?」

ウルウルとした目で見つめてくる朱鳥。

その目はズルイよ……

「でも、俺遅刻しちゃう。もし朱鳥が入院してる時に俺が朝の回診に来なかったらどう?不安じゃない?」

コクン

「だったら、離して?俺も忙しいの。何かあったら、連絡してくれていいからさ。ご飯も冷蔵庫に入ってるし、寝てればいいんだから大丈夫でしょ?何か困った事あったら電話して?いい?」

コクン

「じゃあ、俺行くね。夜はできるだけ早く帰ってくるからさ。いってきます。」

そう言って、朱鳥をギューッと抱き締める。

「……いってらっしゃい」

朱鳥は、今にも泣きそうな目で手を振って見送ってくれた。

何もなければいいんだけど。

なんか、不安だな……
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