ある雪の降る日私は運命の恋をする

愛依side

朱鳥ちゃんと喧嘩をしてしまった。

理由は、ただ単にあたしが一方的に朱鳥ちゃんにヤキモチをぶつけただけ。

前々から、薄々気付いてはいたけど、直接言われそうになると、取り乱してしまった。

なんで、好きな人を教えた時に言ってくれなかったの?

今まであたしを騙してたって事なの?

あたしを騙して、からかってたの?

……違う。

そんな事ない。

朱鳥ちゃんは、そんな子じゃない。

知ってる。

だって、本当にいい子だもん。

親身になって人の話を聞いてくれて、あたしが凹んでた時には励ましてくれた。

…………だから、きっと、朱鳥ちゃんだって、あたしに言い出せなかっただけなんだよね。

きっと、あたしが傷つかないようにしてくれてたんだよね。

でも…………隠されてたのが一番辛いよ……。

悪い子じゃないのはわかってるのに、責めたくなる。

なんで?って聞きたくなる。

朱鳥ちゃんは、悪くないのに……。

そんな、自己嫌悪に浸っていると、コンコンッとドアがノックされた。

ガラッ

「愛依ー、ちょっと、いいかー?」

陽向先生だ。

陽向先生は、いつもと変わらない笑顔で病室に入ってきた。

そして、私のベッドの隣に腰をかけた。
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