ある雪の降る日私は運命の恋をする

朱鳥side2

重い沈黙が流れる。

愛依ちゃんが病室に来て、5分。

未だに私たちは何を話していいかわからず、黙ったまま。

でも、先に沈黙を破ったのは愛依ちゃんだった。

「……朱鳥ちゃん…ごめん」

「え……」

「あたしさ、朱鳥ちゃんに嫉妬しちゃった。あたしは、楓摩先生の事が好きなのに、もう、楓摩先生には朱鳥ちゃんっていう可愛い彼女がいるんだもん。……それで、ヤキモチ焼いてた。…………ごめん。」

「……ううん、こっちこそごめん。私、愛依ちゃんが楓摩の事好きなのを知ってて言わなかった。…………言ったら、愛依ちゃんとの関係が壊れちゃう気がして怖かった。………それで、なかなか言い出せなくて…ごめんね。」

「………………」

「………………」

また、重い沈黙が流れる。

その時

ガラッ

「お二人さーん、仲直り出来たのー?」

陽向先生と、楓摩が病室に入ってきた。

「2人とも、まだ喧嘩してるの?いい加減仲直りしなよ。」

「ちょっ、陽向、お前は一回黙って…」

「いいから。」

何かを言いかけた楓摩を陽向先生が抑える。

「2人とも謝ったんでしょ?なら、解決じゃん。それとも、もう、一生仲直りしたくないの?お互いにそんなに嫌いになっちゃったの?」

「「そんなことないっ!!」」

「…なーんだ。そんな事ないんじゃん。息もピッタリ合ってるし。お互いに嫌いじゃないなら、ほら、もう仲直り。」

陽向先生は、そうニッコリ笑って、私たちの手を取った。

「ほら、仲直りの握手。よくやるでしょ?こーゆーの。」

「フフッ」

「ハハッ」

陽向先生があまりにもドヤ顔で言うもんだから、私も愛依ちゃんも笑ってしまった。

「陽向、子供っぽい」

楓摩も笑ってるし。

「あー!みんなして、笑うな!!」

そう言って陽向先生は、ほっぺをプクーっと膨らませた。

いつの間にか気まずい雰囲気も消え去り、そこには笑いだけがあった。

きっと、陽向先生は、これを狙ってたんだな。

私も愛依ちゃんもお互いを見つめて笑いあった。

もう、そこにはさっきまで喧嘩してたとは思えないような、楽しい雰囲気が流れていた。
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