ある雪の降る日私は運命の恋をする

喜びと悲しみ

目を覚ますと、もう楓摩はいなかった。

その代わりに枕元にメモがあって、そこには書き置きが残されていた。

"朱鳥へ
おはよう。起きた?まあ、起きたらとりあえずナースコール押してくれる?押したら、瀬川くんに行くように言っておいたから、診察してもらってね。"

そう書いてあったので、私はナースコールを押して瀬川先生を呼ぶことにした。

すると、5分もしない内に瀬川先生は病室に来てくれた。

コンコンッ

ガラッ

「朱鳥ちゃん、おはよー!」

「おはようございます」

「ハハッ、朝から礼儀正しいね。よし、じゃあ診察するね。」

瀬川先生は、ニコニコ笑っていて、大人の人が苦手な私でも接しやすかった。

「じゃあ服捲ってねー」

少しだけ服を捲ると、瀬川先生は真剣な顔になって診察を始めた。

聴診を始められると、聴診器が冷たくてビックリした。

いつも、楓摩は手で温めてから聴診してくれるので冷たくないのだが、やっぱり違う先生だと違うんだな~と改めて感じる。

「うん。大丈夫そうだね。じゃあ、体温計ってー」

体温計を渡されて、脇に挟む。

ピピピピピッ♪

自分では確認せずに瀬川先生に渡す。

すると

「うわっ!!熱あるじゃん!!」

瀬川先生は驚いたような顔をした。

何度か見せてもらうと、37.8

一般的には熱があるんだろうけど、自分では、そこまで高いとは思わない。

最近、高い熱が出過ぎて感覚がおかしくなったのかな?

「朱鳥ちゃん、点滴する?した方がいいかな?」

瀬川先生、焦ってる(笑)

「大丈夫だと思います。いつも、これ以上余裕で出てるけど、その時も冷えピタでいけるから大丈夫です。」

そう言うと、瀬川先生は驚いて、それから小走りで冷えピタを取りに行ってくれた。

なんだか騒がしい人だな(笑)
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