ある雪の降る日私は運命の恋をする
ガーゼを貼って止血処置をしてから、朱鳥に声をかける。

「朱鳥、大丈夫?寝たまま吐くのは苦しいから、起き上がろっか?」

コクン

朱鳥を支えて、ゆっくり起こしてあげる。

そのまま、ベッドの上に座った朱鳥の隣に俺も座って、朱鳥を支える。

「ケホッ……ゴホッ…ゴホッ…………はぁ、はぁ…オェェ……」

朱鳥は、胃の中のものを全て出してしまったようで、もう胃液しか出てきていない。

それでも、なかなか吐き気は収まらないようだ。

涙も零しながら、朱鳥は吐き続ける。

10分程して、やっと、朱鳥は吐き気が収まったようで、俺にもたれかかってグッタリとした。

「朱鳥、大丈夫?」

コクン

まだ、涙を流している朱鳥の涙を拭く。

「朱鳥、本当はさ、検査の後はこの部屋でしばらく止血のために寝ていないと行けないんだけど、今日は朱鳥も辛そうだし、病室戻ろうか?ここの硬いベッドよりは、病室のベッドの方がいいでしょ?」

「…うん」

「じゃあ病室戻ろっか。歩くのキツイと思うから抱っこするね。」

そう言って、朱鳥を抱き上げる。

そのまま、俺たちは検査室を出て、病室へ向かった。
< 277 / 505 >

この作品をシェア

pagetop