ある雪の降る日私は運命の恋をする
「朱鳥っ!!」

ノックもせず、朱鳥の病室のドアを開けて、中に入る。

「うわっ、楓摩?どうしたの?そんなに急いで」

「朱鳥、聞いて!!」

俺は、朱鳥のベッドの横にある椅子に座って、朱鳥の手を握り、朱鳥の目をジッと見た。

「なに?」

「あのな……」

「うん」

「朱鳥の血液に合うドナーが見つかったんだ」

「え?」

朱鳥はポカンとした顔で俺を見てくる。

前に、少しだけ話したこともあったけど、その時は上の空だったしな(苦笑)

「あのね、朱鳥。よく聞いて。」

「うん」

「あのね、朱鳥は今、白血病って血液の病気でしょ?それで、抗がん剤で頑張ってるけど、骨髄移植っていうのをすれば、多くの割合で白血病は治るんだ。」

「えっ……本当?」

「うん。本当。んで、骨髄移植っていうのはね、まず、朱鳥の中にある白血球を1度、全部殺すんだ。それから自分じゃなくて、他の人の健康な骨髄液を貰って、朱鳥の体に入れるの。」

朱鳥は、神妙な顔で聞いてくれる。

「だけどね、その骨髄をもらう人は、朱鳥に合う血液を持っていないといけないの。だから、多くの場合は家族から貰うんだけど、朱鳥はそれができないでしょ?だから、ずっと血液の合う人を探してたの。それが、遂に見つかったってこと。」

「…じゃ、じゃあ、私、助かるの?病気、治るの?」

「うん。朱鳥が頑張ればね。」

そう言うと、朱鳥は涙を流して、俺に抱きついてきた。

「良かった。これで、あと骨髄移植だけ頑張れたら、もう、入院もしなくていいからね。普通の生活が出来るからね。」

コクン

そう頷いて、朱鳥は嬉しそうに笑った。
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