ある雪の降る日私は運命の恋をする

楓摩side2

今日の仕事も、あとは夜の回診だけで終わり。

俺は、朱鳥以外の患者さんの回診を手早く済ませ、朱鳥の病室へ向かった。

コンコンッ

ガラッ

ドアを開けてきた途端聞こえてきたすすり泣く声。

「朱鳥、大丈夫?」

そう言って、ベッドを見るも、朱鳥はいない。

驚いて、無菌室の中に入ると、朱鳥は床にうつ伏せに倒れて泣いていた。

「朱鳥、どうした?大丈夫?」

そう声をかけて近づく。

「嫌っ……」

「え?」

「…こ……ないで…………」

朱鳥の近くによると、その理由がわかった。

きっと、漏らしちゃったんだな……

倒れてるってことは、トイレに行きたくても行けなかったんだろう。

「ごめんね、朱鳥。もっと、早く気付いてあげれなくて……」

そう言って、朱鳥を抱きかかえて、一旦ベッドに寝かせる。

「朱鳥、服、取り替えようか。そのままじゃ、気持ち悪いしょ?」

朱鳥は、泣きながらコクンと頷く。

「じゃあ、今、女の看護師さん呼んできてあげるから、ちょっと待ってて。」

そう言って俺は病室を出た。
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