ある雪の降る日私は運命の恋をする

陽向side3

ピンポーン

病院での勤務が終わった夜、俺は楓摩の家に来ていた。

朱鳥ちゃんと約束した通り、夜の回診として。

だけど、朱鳥ちゃんは居るはずなのにインターホンを鳴らしても朱鳥ちゃんは出てこない。

ピンポーン

もう1度鳴らしてみる。

……だけど、返事はない。

変だな…

少し不安になってドアのノックしてみる。

反応はない。

少しだけドアノブを引いてみると、鍵が閉まっていなかったのか、すんなりと開いた。

「朱鳥ちゃん、居るー?入るよー」

もしかしたら、寝てるだけかもしれない。

…だったら、いいんだけど……

楓摩の家のリビングのドアを開けると、そこには昨日と変わらず、楓摩が寝ていた。

だけど、朱鳥ちゃんの姿はない。

「朱鳥ちゃん?朱鳥ちゃん、どこ?いる?」

寝室や、洗面所にはいないな…

残るは、台所と2階だけど……

台所の方へ向かうと、足が見えた。

俺は驚いて小走りで駆け寄る。

そこには、荒い息をして倒れている朱鳥ちゃんがいた。

手に持っているのは、保冷剤だ。

自分で冷やそうとしたのか…

俺は急いで朱鳥ちゃんを抱き上げて、近くにあったソファに朱鳥ちゃんを寝かせた。

そして、持ってきていた体温計で朱鳥ちゃんの熱を計りながら、聴診もする。

少しだけ呼吸が浅いな…

そう考えていると、体温計が鳴った。

ピピピピピッ♪

ピピピピピッ♪

体温計の表示は……

41.3

熱が高すぎる……

俺は、持ってきていた解熱剤の注射を用意して、朱鳥ちゃんに打つことにした。

「朱鳥ちゃん、ちょっとごめんね。少しチクッとするよ」

そう言って解熱剤を打つ。

少しすると、かなり楽になったのか、朱鳥ちゃんの呼吸も安定した。

……でも、今日は心配だな…

明日は仕事休みだし、今日はここに居るかな……

楓摩なら、きっと許してくれるよね。
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