ある雪の降る日私は運命の恋をする
「楓摩…………会いたいよ…」

意識が朦朧としているのか、朱鳥ちゃんはずっと楓摩の名前を呼び続ける。

「楓摩、どこ?どこ?楓摩……助けて…」

そう言って泣いているばかり。

これには俺も困った。

俺の力じゃ泣き止ませることは出来ないし、でも泣いている朱鳥ちゃんを見ているのは心が痛む。

「楓摩…行かないで…………行っちゃダメっ……」

今度はそう言ってギューっと縮こまって小さく震えている。

…わからない、わからないよ。

楓摩なら、今朱鳥ちゃんがどういう夢を見ているのか、どんな気持ちか察して慰めてあげられるんだろうけど、俺には無理だ…

「楓摩っ!!…はぁっ……はぁっ………どこっ?会いたいよ…楓摩……楓摩…………」

ボロボロと涙を零し続ける朱鳥ちゃんの背中を俺は撫でた。

「朱鳥ちゃん、大丈夫?」

そう聞いても、朦朧としているみたいでわかっていない。

俺は、どうすることも出来なかった。
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