密かに恋焦がれて
社長からは凄まじい怒気が感じられブルッと躰が震えた。
低い声に冷たい口調で社員かと尋ねられ総務課の高橋琴美だと名のる間も冷や汗が背中を伝わる。
「真奈美は連れて帰る」
社長は真奈美の腕を掴んで出入り口の方に歩いて行く。
「バカが!」
「クソッ……」
お兄ちゃんに一喝されたヒロは顔を歪め額をテーブルにゴンっと打ちつけそのまま動かない。
「お前のせいで真奈美ちゃんが疑われてる。解ってるのかっ」
「何をしたかぐらい解ってる……」
ヒロの声は震えていた。
後悔してるのかもしれない。
真奈美のバッグがまだあることに気付き社長達のあとを急いで追うと外に出たところで間に合った。
「真奈美、バッグ!
ヒロが悪かったって伝えてほしいって……」