痛快! 病ンデレラの逆襲
09 病ンデレラの目に涙

「探したぞ……こんなところに寝ていたら、今度は風邪をひく」

誰? お千代さん?
眠いから寝かせておいて。

フワッと体が浮いたような感じがする。
このウッディな香りは……社長?
ああ、夢か……でも社長なら……いいな、嬉しいな。

「……もしかしたら、あれを見たのか」

唇に温かなものが触れる。

「心配するな。あんな一方的なのは事故も同じだ」

フワリと下ろされたのは布団の上? コートを脱がされ、ソッと寝かされる。
毛布と掛け布団を掛けられるが、ヒンヤリとしてブルッと震える。

「寒いのか」

言葉と共に声の主は、私の横にスルリと入り込み腕枕をする。
その主の体温と私の体温が合わさり、ジンワリ温かくなっていく。

「俺を信じろ。愛している……お前しか要らない」

ああ、今度は分かった。
覚えのある唇だ。それが私の唇に何度も重なる。

「早く俺のものになれ」

聞こえる声が切なげで、私まで切なくなる。
だから人生初の告白をする。夢だから恥ずかしくない。

「……私も……好き、社長が……とても……」
「姫……」

声の主が私の名を呼び、狂おしいほど抱き締める。

「姫……姫……愛している」

唇が再び重なり、深まるキスにしだいに息苦しくなり気が遠くなる。

「……夢の中で死ぬのは……本望ではありません」

でも、社長の腕の中で死ねたら、それはそれで素敵かも、と微笑み、そのまま意識を手放す。

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