痛快! 病ンデレラの逆襲
11 病ンデレラたちの後日談

「姫、流石、シェフだわ!」

億ションと云われる社長のマンションに引っ越したのは新年会シーズンも収まった一月の末。

「それにしても、ペントハウスってやっぱり見晴らしいいわね」

そう、社長と私は婚姻届けを出し、無事夫婦になった。
今日はメープル荘の皆を招待し、引っ越しと入籍のパーティーを開いている。

「それにしても、メープル荘の取り壊しが来月末って何?」

要子の言葉に私は苦笑するしかない。
社長は以前宣言した通り、取り壊しを早めた。本当に呆れてものも言えない。

「まっ、私たちとしてはラッキーだわ」
「そうそう、億ションに破格で入居できるんだから」

要子の言葉に梨子がニシャリと笑う。

「私たちも、こんな素敵な所から新婚生活が送れて嬉しいわ」

ミミと夢子が顔を見合わせチュッとキスをする。
全く、相変わらずの二人だ。

「当然です。こちらの身勝手な予定で皆様にご迷惑をお掛けするのですから」

社長はさも仕事絡みだみたいに言っているが、事実は自己中極まりない。

「それに、貴女たちにはコイツがお世話になりましたからね」

社長が私の肩をグッと抱く。

「結婚式と披露パーティーには是非参加して下さい」
「あらっ、来なくていいって言っても奇襲するつもりだったわ」

夢子がフフと笑みを浮かべる。

「結婚式はセント・リング教会よね」

シスター恵理子の居る教会だ。

「ああ、ごく親しい人だけのね。代わりに披露パーティーは盛大に行う」
「蕩けそうね」

梨子の言葉に社長が当然という顔をする。

「これ以上の幸せはない。愛する女をやっとこの腕にしたんだからな」
「あっ、それ分かります。私も幸せです」

ミミが大きく頷き、夢子の頬にキスをする。

「ところで、梨子ちゃんは入口さんとはどうなったの?」

要子が聞く。

「ああ、彼ね。お付き合いを始めたわ。もうしつこくって!」

顔をしかめながらも唇の端は上がっている。

「それと……」
「あっ、それは俺から言おう」

何故か社長と梨子が目配せし合う。

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