CLASS GAME

再会

「結衣‥結衣だよな?」

誰‥?
涙を拭って顔を上げると、私の知った顔がいた。

「沙希⁉︎何でここに‥。」

沙希‥、早川沙希とは小学校時代の同級生で私の唯一の親友だった。
沙希はボーイッシュで正義感が強く、よくいじめられていた私を男子達から助けてくれていた。そう、あの時も。


放課後、私が帰ろうと
「オマエ、フツーすぎて全然つまんねー。だから友達1人もできないんだよ!w」

アハハと取り巻きの男子達が笑う。

もう無理。これ以上は耐えられない‥。
泣きそうになって俯いているとパシッという音が聞こえた。
何事かと顔を上げると私の前に誰か立っている。

「いってーな、何すんだよ!」

「アンタってサイテー‼︎さっきから聞いてれば普通普通って馬鹿にしてるけどな、普通って凄い事なんだよ!」

「何だよそれ。」

「アンタはガキだから分からないだろうけど。あと友達ならいるから。あたしが!」

バカにしたような口調に腹が立ったのか文句を言う男子達を後にしながら「行こう。」と手を握られ私達2人はその場を去った。


ハァハァと2人で息を切らしながら校舎の裏の草むらに座りこんだ。

「ご、ごめんね巻き込んじゃって‥。」

と息を切らしながら沙希に向かって言う。


「いや、勝手にあたしがした事だし。むしろこっちがごめんだよ。」

「え、何で?」

「結衣ちゃんのこと、普通だって認めるみたいな事言っちゃっただろ?」

何でそんな事謝るんだろう。自分でもちゃんと自分がつまらない、普通だって分かってるのに。

「ううん、私もちゃんと分かってるよ。つまらない、普通だって。だからいいの。」

気まずそうな顔をして沙希が話し始める。

「いや、その、あたしが言いたかったのはつまらないとかそういうことじゃないんだよ。
あたしスポーツは出来るけど当たり前の事が出来なくて、よく普通にやればいいんだって言われてきたんだ。でも「普通」が分からなくって。‥だから君みたいに当たり前に普通の事が出来るって凄い事だし、えっと、その‥。」

クスッ。
必死に説明しようとしている沙希を見て思わず笑ってしまった。

「ごめん、だってあんまり必死に説明してるんだもんw私は「普通」が嫌だけど沙希ちゃんはその「普通」が好きなんだね。よく分かんないけど、ありがとう。」

久しぶりに微笑んだ。

「ま、そういうことかな。あと沙希でいいよ、あたしも結衣って呼ぶから。」

それから私達はほとんど一緒にいた。休み時間も放課後も2人で遊んだり、話したり、楽しい時間だった。
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