それはきっと、君に恋をする奇跡。


遥輝の入院している大学病院は、幸いにも学校から近かった。


やがて無菌室から出られるようになり。

遥輝の体調が落ち着いているときの放課後は、遥輝の病室で宿題をやったりして過ごすことが多くなっていた。



「蒼さあ……いつも来てくれるのはいいんだけど、部活どうしたの?」


「あー、バスケ部って今そんな真面目にやってないんだよ」



この問題難しいなー。


ベッドの傍らで数学の宿題に取り組む俺は、遥輝の言葉に生返事を返すと。


なんとなく、妙な静けさがこの部屋を包んだ気がして。

不思議に思って顔をあげると、遥輝が俺をジッと見ていた。


……なにか……?



「昨日さ、岡本先生がお見舞いに来てくれたんだよ」



えっ……。


岡本とは俺達の担任でもありバスケ部の顧問。



部活なんて、実はとっくの昔に辞めていた。

親友がこんな状態で、部活なんてやってられるわけないだろ……。
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